皆さんは、車に乗っていて『バッテリーあがり』というトラブルを経験したことはありませんか?
私も、これまでに何度か経験したことがあるのですが、人通りの少ない山道などでエンジンが掛からなくなったりすると、とても心細いものですよね。
そのようなトラブルを未然に防ぐためには、定期的なバッテリーの点検や交換が必要になるわけですが、ちょうど我が家のアルト(HA22S)のバッテリーを交換する機会があったので、今回は軽自動車のバッテリー交換の手順と取り外したバッテリーの廃棄方法について少しまとめてみたいと思います。
今回使用したバッテリー
自動車用のバッテリーにも色々な種類があるのですが、今回は、ACDelcoのメンテナンスフリーバッテリーを使用してみることにしました。因みに、サイズの方は「40B19L」を選択。
個人的には、使用するバッテリーの銘柄に特に拘りなどはなく、今まではホームセンター等でよく見かけるバッテリー液を補充可能なタイプの物を使用していました。
しかし、以前このタイプのバッテリーで、少しばかり補充液を入れ過ぎてしまったために走行中にバッテリー液が吹き溢れてしまいエンジンルームの内側だけでなく、更にその下の足回りまでも腐食させてしまったという苦い経験があります。
そんな理由で、今回はバッテリー液を補充できない代わりに、そのような心配の少ない密閉型構造になってるACDelco「SMF40B19L」を選択してみました。
ちなみに、使用条件にもよりますが、バッテリーの寿命としては密閉型も補充型も特に大きな差はなく、補充液や添加剤を継ぎ足しながら、バッテリーの寿命をできる限り延ばしたとしても、平均的なバッテリーの寿命と言われる2~3年から大幅に延ばすことは難しいと思います。
そして、その期間を経過した後、バッテリー上がりのリスクを抱えたまま走り続けることを考えると、車検や12ヵ月点検などある程度区切りの良いタイミングでバッテリーを新品に交換してしまった方が、より安心してドライブを楽しめるのではないでしょうか。
このSMF40B19Lには、本体上面に比重計が備え付けられていて、のぞき窓の中に見える色を確認することによって、バッテリーの状態を簡単に把握できるようになっています。
また、収納可能な取手も付いていて、箱から取り出す際はもちろんのこと、車両にバッテリーを搭載するときにも安全に保持できるので大変助かります。
カーバッテリーって小さいくせに地味に重いし、持ち上げる時に手を掛けるところが少なくて非常に持ちにくいんですよね。そんな時に、このようなハンドルが付いていてくれるととっても便利です。
ちなみに、開封時の初期電圧を計ってみたところ12.65Vありました。
用意したもの
今回は、バッテリーを交換するために次のような道具を用意しました。道具といっても、どうしても必要な工具といえば10mmのレンチくらいなものです。上手に探せば、DAISOなどの100均でも購入できると思います。
保護メガネ
文字通り目を保護するためのゴーグルです。バッテリー交換をするためだけに保護メガネなんて、ちょっと大袈裟に思われるかもしれませんが、万が一のトラブルに備えて装着しておくことをオススメします。
私は、普段からメガネを掛けているのですが、その上から更に保護メガネを掛けて作業をしています。本心は、ちょっと恥ずかしいですけどね。
なぜ装着した方が良いのかといった理由については、また後程お話しますが、この保護メガネ何気に重要だと私は思います。
コンビネーションレンチ
バッテリー端子を固定している10mmナットを緩めたり締め込んだりするために使います。
今回は、少しでも作業を楽にするためにラチェット機能の付いたコンビネーションレンチを使用していますが、正直なところナットを傷めずに緩めることができれば、モンキーレンチでもメガネレンチでもソケットレンチでも、はたまた車載工具の中に入っているスパナでも構いません。
ワイヤーブラシ
バッテリー端子に付着した錆を落とすために使用します。
取り外したバッテリーの端子は、腐食していることが多いので、柔らかめの物で充分ですので1本用意しておくと何かと重宝します。
この他にも、防錆対策として適当なグリスや怪我をしてしまわないように作業用の手袋かゴム手袋などがあると安心して作業が進められるかと思います。
古くなったバッテリーの取り外し
新しいバッテリーを搭載する前に、まずは古くなってしまったバッテリーを取り外し、車両から降ろしていきます。
マイナス側のバッテリー端子を取り外す
まず始めに、マイナス側のバッテリー端子を取り外します。
このバッテリー端子は、10mmのナットで固定されているので、矢印で示したナットをメガネレンチなどを使って緩めてから、端子を手で軽く揺すってあげると簡単に取り外すことができます。
ちなみに、ナットは完全に取り外さなくても緩めるだけで大丈夫ですよ。
また、ナットを緩めても端子が固着していて手で取り外すのが困難な場合は、マイナスドライバーなどを使って端子の口元を少し広げてやると外しやすくなると思います。
プラス側の端子から取り外しちゃダメなの?
さて、本職の整備士にそんな質問を投げかけると「そんな事、当たり前でしょ!」と怒られてしまいそうですが、普段から車に触れる機会の少ない方の中には、そのような疑問を持つ方もみえるのではないのでしょうか。
バッテリーの端子を取り外す際に、マイナス側の端子から取り外す理由については諸説ありますが、主な理由としては「作業中の短絡による感電やケガなどの事故の防止」が挙げられます。
短絡とは、プラス側とマイナス側の通電部分が直接接触する、いわゆるショートを起こした状態のことです。
マイナス側のバッテリー端子が接続された状態で、プラス側のバッテリー端子を取り外そうとすると、不意とした拍子に工具がボディーに接触してしまい短絡を起こすといったアクシデントが起きがちです。
普通自動車の補機類に使われる電圧は12Vですので、感電を起こしても余程のことがない限り命に関わることはないと思いますが、その時の体調や条件などによっては必ずしも安全とは言い切れません。
例え12Vでもひとたび短絡を起こせばかなりの火花が飛びますし、それと同時に他の電装品にも被害が及ぶ場合もあります。また、周囲に可燃性の物があれば火災の原因にもなりかねません。
そのような理由で、無用なトラブルを避けるためにも、バッテリー端子を取り外す際には、必ずマイナス側の端子から外すようにしましょう。
プラス側のバッテリー端子を取り外す
次に、プラス側のバッテリー端子を取り外していきます。
プラス側の端子は、短絡防止のために赤いカバーで覆われているので、これを外すか捲るなどして、マイナス側の端子と同じようにナットを緩めて取り外します。
外した端子の裏面などを確認して青錆などの腐食が見られるような場合は、接触不良を起こさないようにワイヤーブラシを使用してサビを落とし綺麗に清掃しておきましょう。
ホールドダウンクランプを取り外す
バッテリー端子を取り外すことができたら、続いてホールドダウンクランプを取り外していきます。
ホールドダウンクランプとは、バッテリー本体を固定している金属製のステーのことで、両サイドを固定しているネジを緩めることで取り外すことができます。上の画像では蝶ナットで固定されていますが、車種によって六角ナットやボルトで固定されている場合もあり、固定方法は様々です。
ホールドダウンクランプを固定している雄ネジの下側はフックのような形状をしており、バッテリーキャリアに空けられた穴に引っ掛かっているだけなので、蝶ナットを完全に外さなくても、ある程度まで緩めれば雄ネジやホールドダウンクランプごと取り外すことができると思います。
バッテリーを取り外す
これで、バッテリーがフリーの状態になったので、あとはこれを持ち上げて車から降ろすだけなのですが、バッテリーは小さくても意外と重たいので落としたりしないようにそーっと慎重に車両から降ろします。
バッテリーの取扱は慎重に・・・。
さて、ここで気をつけたいのがバッテリーの取り扱いなのですが、鉛バッテリーの中に入っているバッテリー電解液の正体は「希硫酸」という液体で、薄まってはいますが立派な「酸」です。
万が一、バッテリーを落下させるなどして中身が漏れ出たりすると、破損したバッテリー本体とバッテリー電解液の後始末が非常に厄介です。
皮膚に付着しても即座に溶けるようなことはありませんが、しっかり水で洗い流さないと炎症を起こしますし、車のボディーや金属部分などに付着した場合には、塗装やフレームを腐食させてしまいます。
万が一にも、そんな液体が目に入ってしまったら・・・。
あまり考えたくはないですが、趣味の代償としてはあまりにも大きなリスクですし、何よりその後で掛かる医療費が痛いです。
そんな理由で、私は恥ずかしくてもできるだけ冒頭で登場した保護メガネを着けて作業するようにしています。
新しいバッテリーの取り付け
さて、ここからは先程取り外した時とは逆の手順で、新しいバッテリーを搭載していきます。
ホールドダウンクランプを取り付ける
まずは、バッテリーキャリアに新しいバッテリーを収め、ホールドダウンクランプでバッテリー本体を固定していきます。
バッテリーキャリアには、バッテリーを納めるための凹みがあるので、バッテリーが斜めに傾いたりしないように気をつけながら、ホールドダウンクランプがバッテリーの真ん中辺りにくるように位置を微調整して置きます。
固定する位置が決まったら、ホールドダウンクランプのフックがバッテリーキャリアの穴にしっかりと掛かっていることを確認して、固定用のナット(蝶ナット)を締め込んでいきます。
バッテリーキャリアは薄い鉄板で出来ているので、このナットをあまり強く締めすぎてしまうとバッテリーキャリアが変形してしまったり、最悪の場合は穴が破損してしまうので、ナットの締め過ぎには十分注意してください。
目安としては、手でバッテリーを揺すってみてしっかりと固定されているようなら、適当なところで締めるのをやめておきましょう。
プラス側のバッテリー端子を取り付ける
バッテリー本体の固定が完了したら、続いてプラス側のバッテリー端子を取り付けていきます。
純正のバッテリー端子は肉薄で思いの外弱く、取り付けの際にナットを締め過ぎると端子の側面が割れて破損してしまったりするので注意しましょう。
バッテリー端子の固定も、ホールドダウンクランプと同様に手で軽く揺すってみて、しっかりと固定されていればOKです。
マイナス側のバッテリー端子を取り付ける
プラス側と同様に、マイナス側のバッテリー端子もナットの締めすぎに注意しながら取り付けたら、バッテリーの交換作業は完了です。
また、バッテリー端子の腐食が気になる場合には、サビ防止として端子の表面に薄くグリスを塗っておくと良いでしょう。
取り外したバッテリーの処分方法
バッテリーが新しくなったのは良いのですが、今度は取り外したバッテリーを処分しなければなりません。間違っても不法投棄などしてはダメですよ~。
自家用自動車のバッテリーは、特定廃棄物に指定されているので、それぞれの自治体の定めるルールにしたがって適切に処理しなければなりません。殆どの自治体では、回収や持ち込みの手続きを行い定められた金額を支払うことで、クリーンセンターなどで処理をお願いすることができるようです。
その他の処分方法としては、ガソリンスタンドや自動車整備工場などで処分料を支払うことで廃棄バッテリーを引き取ってもらうのが一般的だと思うのですが、最近では、ホームセンターなどでも新しいバッテリーを購入すると「バッテリー回収チケット」なるものが貰えて、バッテリーを交換したあとで取り外したバッテリーをサービスカウンターに持って行くと引き取ってもらえるといったサービスのあるお店もあります。
また、バッテリーを購入する前には、必ずそのお店でバッテリーの引き取りが可能かどうかを確認してから購入することをお勧めします。
さて、いかがでしたでしょうか。冒頭にも書いたように、バッテリー交換の作業は、注意事項に気をつけながら落ち着いて作業を進めていけば決して難しい作業ではないと思います。
とりあえず、何かしら簡単な作業から車いじりを始めてみたいと考えている方には、ちょうど程よい難易度の作業ではないでしょうか。くれぐれも怪我や事故のないように安全には十分気をつけて趣味の車いじりを楽しんでくださいね。
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